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妄想タイム

黒龍ssです。李功以外もたっぷりです
製作時間4時間くらい。勢いは大切ですね
おうき様はお父さん
兄貴はブラコン
弟は基本愛されキャラ 以上。

飾られた虚実 愛が無ければ見えない
と愛おしい志方さまも歌っていらっしゃいます。だからなんだ。


「どうか私に免じて」

「弟をお許し下さい」

「弟は、まだ子供故」

「罰ならこの私が」

「なにをされても構いません」


どうか、弟だけは。繰り返す言葉

その行いは、軽く自分の思考の及ぶ範疇を超えていた





               『黒い村の記憶』  









地に両の手を着き
懇願するために見上げたその眼は余りにも必死で
普段の姿から酷く懸け離れたものだった。と言うのも
この男を拾ったのは単なる気紛れ本当は稀なる力を持つという噂を聞き付け
この男の弟、つまり李功だけを買い取る予定・・・だったのだ。
それを何故、そう正直な話決して財政的恵まれているとはとても言い難い
武術の家に二人の児を連れて来たのか

『たった一人の血族だろう離しては可哀想だ』
等と言う戯た思考故からでは決してない。俺は到底そんな人間からは程遠い
そんな事は自分が一番解っているのだから

単なる気紛れ
しかし、強いて言うのならば眼。
自分を睨み付けた眼は弟を護ろうとするその行為からは
何処か対極的に、まるで血など通っていないかの様に思えた眼に
ほんの少しの興味を憶えたからだ

今はその眼すらも光を帯び
地に膝を着き躊躇う事もなく頭を下げ、自分と引き換えに許しを乞いている
そんな姿を見ている内に、血の上った頭は否応なしに冷めてきた
元を正せば、俺がこの男・・・劉宝の弟を叱咤したのも
俺の大事にしていた盆栽を不注意で壊した・・・と言う下らない事だった。
冷静に思い直し、自分にも、頭を下げ続ける劉宝にも
一つ、溜息を付き呆れ返った時
その刹那、疑問は当然の様に湧いてくる

何故・・・この男はこれ程までに弟を庇うのか

俺の怒りが収まらなかったらどうするつもりだったのか
それとも本当に
弟の為ならば自分はどうなっても構わないとでも、言うつもりなのだろうか

そんな馬鹿な事が














だからか?劉宝

お前がわしに従い続けるのは
『外道』と指さされるこのわしに尚も従うのは












弟を護る 為だったのか?
































「劉宝」


どれ位振りか、壁越しに貴方の声を聞いた
自分を呼んでいる
それは貴方がくれた私の名

「どうか、致しましたか王輝様」

壁越しの何時かと変わらない返事を貴方に返す


「すまんな」

それは余りに唐突で
何に対して誰に対しての事柄なのかを理解するのに数秒を要した。
今までは貴方の思想も言葉も、まるで自分の事のように
理解出来た筈であったのに
驚かない筈も無い。
その言葉が謝罪を意味しその上自分に発せられたものだったのだから
聞き間違う筈などない。間違いなく確かに私の名を呼んだ

「・・・・」

何を と

言いたかったのに、僅かに声は出てくれなかった

「わしに付き合ったばかりに、お前までこの様な事になった」

「・・・・・」

「不謹慎だが、それでもお前には礼を言おう」

「王輝様・・・」

「お前は知るまい?わしが、お前が居た事で・・・」

「もう・・・構いませんから」

「どれ程・・・」

「それ以上は、どうか・・・仰らないで下さい」

解っています
解っていますから

貴方を理解出来るのは この世に私ただ一人


「王輝様、私は」



一番傍に居たのですから

『外道』と万人に指さされた貴方の傍に













昔、この黒い龍を掌る村に

やはり強さを求め、修行に明け暮れる男が居た

男は強かった。その強く在りたいと言う思いの分だけ、男は強く在れたのだ
それがその男の誇りだった。
だがそんな誇りも、10年にたった一度の連合試合
そこに現れた才能豊かな少年の存在によって、余りも脆く打ち砕かれた
そして砕かれ、ひび割れ悲鳴を上げた誇りの内に
闇は生まれ、虚無は増殖した

男は、生まれた闇に駆られ広がる虚無から逃れようと必死になった
何が自分の風穴を埋めてくれるのか
答えを見付けるのに時間は掛からず容易に辿り着いた

富と名声 外の世界
邪魔な他流派そしてかつて自分を貶めた憎いあの男をも、全て
一度に撃ち落せると言うのならばそれ程素晴しい事も無い、と


思ったのでしょう





私は貴方に報いたかった
貴方が定めた道、貴方が辿り着いた答え、その全てに報いたかった
貴方に拾われたこの命の分だけ、私が生きる限り
幾ら感謝し続けても足りないのだ

例え気紛れでも戯れでも、私とあの子に同じ道を与えてくれた事を





「自らの意思に反する事など、何一つ」


「してはいなかったのですから。」






仰ぎ見た楼の格子越しの空は、狭さとは裏腹に嫌と言う程に碧い
澄んだその色は懐かしさを呼び起こす残酷な色で笑っている
私は、後悔などしていない。最期まで父たる王輝様の傍に在れる事も
何にも代えられない 大切な私の弟を、李功を、

「溢れ出る闇から―











「ーーーーーーーーーーーーッ!!!」


広く、大きい村中に響き渡るのではないかと言う程の怒声
この声を発する人物を何も知らない者が見たらきっと驚くに違いない
自分よりも一回りもあるかと言う巨体の男の胸倉を掴み
信じられない程の力で握り引っ張る
巨体の男と自分の顔の位置を同じにする為に
僅かに幼さの残る背丈、
一見少女の様に取れなくもない切り揃えられた前髪に大きな瞳に映える長い睫毛



「ー答えろッ!!化剄ッ!龍炎お前もだ!!」

「~~~~~~解った・・!解ったから、手を離してくれ喋れねぇよッ李功!」


今は、その容姿すらも掻き消えてしまいそうな程
怒りに猛り目前の二人の男に怒声を浴びせ掛けるその少年を
坊主頭の如何にも人相の悪い男二人組みは李功と呼んだ
この広い村、黒龍拳の里に存在していた総帥たる王輝の内弟子にして
同じく内弟子であり師範であった、劉宝の弟だ

化剄、龍炎と呼ばれた二人の男は李功の悪友であった
二人は李功の叫びとも取れる、問いに答えることは出来ないと思った

けれどその幼さすら残る男の、李功の怒りの中に悲しみが隠れている事が
解らないほど浅い付き合いでもなかったのだ。
総帥に拾われた時、僅か四つだったこの子供は本当にやって行けるのだろうかと
十年の前から随分と気を揉んだものだったからだ。
そんな心配も、もはや取り越し苦労ではあったのだけれど


「・・答えろッ!!俺だけか・・・?」

けれどやはり、まだこの子は子供だった。実際の歳も、心も


「李功・・・」

「俺だけかッ!知らなかったのは・・・!」

何故、と。
感情に任せ叫ぶその姿は激しい筈であるのに余りに物悲しく
とうの昔に、強くなろうと決めたその時に、棄てて来たであろう
自分達の中の良心すら、呼び起こしてしまいそうだと思った。
思ったが、単に李功が掴みかかる手が首を絞め、
それが苦しかったせいだと、自分達に言い訳めいたものを言い聞かせる


「言われていた。」

「・・・なに・・・・・・?」


「言われてたんだよ、お前にだけは言うな。って」




『李功にだけは言うな。』








絶対に、と




初めは解らなかった。俺達はあの人達の様に頭は良くないから
だってそうだろう?年齢なんかは関係ない。生まれ付いての能力、才能、李功は強い
策略に陰謀に、加えない事にメリットなんかは無かった
けれどきっと、今なら解る。こいつにだけは

こいつの手だけは

出来ることならば、汚さないで置ければ、そう思った師範の事が





「お・・おいおい、泣かないでくれよ李功」

「頭の悪ぃ俺達にだってそれ位は解るんだよ、多分だけどよ・・・」



"男は不器用だ"なんて昔からよく言ったもんだけど



「あの人は、本当にお前の事愛してたんじゃねぇのか?」

「ほら、俺等から見ても師範のお前への溺愛っぷり半端じゃなかっただろ・・・?」


しどろもどろになりながらも、
巨体の背を丸め小さな李功を何とか慰めようとするこの二人も例外ではなく
師範と呼ばれた劉宝も総帥たる王輝もその度を越し過ぎていて

言ってくれなければ、伝えてくれなけば、何も解らないじゃないかと
今となってはその真意を知る事も難しい
李功の頬をつたう涙は音もなく地面に落ちる
何故、どうして、と今は居ない兄に聞くことは余りにも困難で
けれど本当の繋がりを、自分だけでも強く思い続ければ、
何時か、聞くことも出来るかもしれないと
間抜けな二人の顔を見ていたら何故だかそう、思えた気がした。














闇と共に堕ちるのは自分だけで良いのだと



愛おしい弟を思い出させる碧過ぎる空を、劉宝が見上げ仰いだのと同じ頃に
李功は涙を拭い自らの落し前をつけるべく白い華の里へと走った





―・・・守れたことも。」







それは

もしかしたら其処に居た誰もが知っていた事だったのかもしれない。
黒い龍の村から生まれた一つの光を

けれどその時が来るまでは、誰も気が付かなかった
もう一度、取り戻した誇りのこの村で
闇を飼った男と闇を見続け共に在る事を選んだ兄と光の下で生かされた弟が

何時かもう一度、同じ地を踏む時が来ることを












__________________________________________


全てを見ていた



それは黒い龍の村の記憶

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